自分が今住んでいる最寄駅に中規模の本屋が百貨店内に入っていて、そこで赤子を午睡させるためにおんぶしながら、たまたま「読む力 最新スキル大全」という本が気になり、家に帰ってから電子書籍版を購入しました。
数か月前から「読書に関する本」が好きで、本を読むことの視点を増やしたくて、すでに数冊は読んでいます(中々ブログに書けないけど...)
何もなしに、本の選ぶ能力はまだ低いと自分では思っていて、読書の達人たちはどんな本を読んで教養を付けているんだろう?と、本の紹介的な本を読んで参考にしています。ですが、この「読む力」はそういう類の本ではなく、いかに知力を「知肉」として、自分のものにしていくか、ということをテーマにしています。
本の表紙は個人的に(キーワードがちりばめすぎてて)あんまりピンとこなかったんですが、中身を見ると気になるテーマが多々ありました。レビューというより、印象に残ったストーリーやハイライトしたものをアウトプットする意味合いで、紹介していきます。
著者: 佐々木 俊尚さんの生い立ち
まず本を手に取って、最初に印象に残ったのは著者(佐々木 俊尚さん)の生い立ちです。
母と再婚した義父は、私が「知」に触れるのをなぜか嫌がった。連れ子がそういう賢しらなものに近づくことに嫌悪感を覚えていたのかもしれない。
「本ばかり読んでいるような者はロクな大人にならん」とよく叱られた。
加えて家では豊ではなく、いっときは4畳半一室しかないアパートに家族3人で暮らしていたほどなので、本を買う余裕など与えられなかった。
中々、自分といい勝負やなと(共感)。自分は府営住宅で4畳半と6畳の2Kで5人家族の風呂なしトイレは「ぼっとん」でした。(そんな張り合いはええか...)
また、
大学受験に一度失敗して地方で予備校に通っていたころ、義父の知人が街金から多額の借金をばっくれて逃げ、保証人になっていたわたしの義父のところにも借金取りが押しかけてきた。
家でひとり受験勉強をしていると、借金取りが突然やってきて、団地の鉄のドアを外から蹴り飛ばし、「こらあ、金返せ」と怒鳴った。
義父は母と娘を連れて夜逃げし、わたしはその街にひとり残され、仕方なく新聞配達をしながら予備校に通い(略)、母が義父に隠れパート労働で学資保険を貯めていた。
中々すごい経験ですね(昔は借金取りは暴れますもんね...)受験勉強とか、勉強するキッカケはなんだったんだろうな...?とふと思いました。
通常、学歴がない親に育てられる子は、基本的に勉学の意義が伝わりにくいと感じているので(自分はそうだったので)、母親に勉強することの目的を教えてもらっていたんでしょうか?
このストーリーの最後に、この「読む力」の本を読むことによって、著者は
「知」と縁遠い人間でも、このぐらいまでは到達できるのだということを、本書から読み取っていただければ幸いである。
そして、学がない環境で生きてきた人間どうしで、わたしたちが大事にしたいと思っている「知」を親しく共有できれば幸いである。
購買意欲をかき立てるために自分に当てはまるようなストーリーや共感は大事です。
同じような境遇っていったら超失礼ですけど、自分も「知」とはかけ離れた人生だったので、今後は自分なりに知肉を育てていきたいなと思いました。
メディアの見方
情報化社会となった現代にとって「どの情報が必要で、どの情報が不必要か」という判断に困ることがあります。また、忙しい日常を暮らす人は、ざっと見しかできない現状もあると思います。
「読む力」はインターネットだと、以下のメディアが参考になりそうとのことでした。
- 経済系: 東洋経済オンライン / ダイヤモンドオンライン
- 社会系: 現代ビジネス / 文春オンライン
- 学術系: シノドス
それと、よりチェックすべき、深い情報としては、やはり専門家の個人ブログや発信するSNSなどのようです。
最近、東洋経済だったか忘れましたが、気になる記事を読んでいても、途中で「続きは有料で入会しなければその続きは読ません!(`・ω・´)」みたいなのが多くてスルーしてしまうんですが、良いメディアということを聞くと、ちょっと見当してみる価値はあるのかなと思いました。
そして、メディアは大きく2種類に分けられ、更にそこから2つの視点を入れた考え方が大事らしい。
- ホリゾンタルか(網羅的にさまざまなニュースを抑えている。表面的なメディア)
- バーティカルか(徹底的に深堀りして分析するようなメディア)
からの、各情報に対し、
- 偏りがあるか
- 中立的か
という視点が加わります。「読む力」の本は実際に、どのようなメディアがホリゾンタルに値するのか、または、バーティカルに値するのか、具体的なメディア名を挙げて紹介してくれていました。また、偏りとはどのような偏り(左右かな)であるか、中立的な立場かというような視点も必要そうです。
出来事の本質に近づくのは簡単ではありませんね。だからこそ今の時代にとっては大事なのかもしれませんね。ハイ。
「読む力」でハイライトした箇所
以下、「読む力 最新スキル大全」の中でハイライトしたものをざっと自分が感じたことを含めて羅列していきます。
気になるキーワード箇所があれば目を通してもらうぐらいがよいのかも、です。
たった一本の記事を読んだだけで、「これで全部わかった」と満足しないこと、一本の記事を読んでも「これだけでは、まだ断片でしかない」と自分に言い聞かせることである。
→ その前提として、まあ、その出来事によほど興味がないと、もしくは、自分に関連性がないとそこまで追いかけへんわ、と思いますけど、とりあえず、一本の記事で分かった気になるのは気を付けるべきだなと、職業柄的にも思います。
何かを読むことに大きな目的のひとつは「たくさんの視点を会得すること」と肝に銘じることである。
→ 読書はそのような感覚で行えれば、勉強の苦も楽になる確率が少し上昇するかも。と思いました。
そもそも現実の社会では、算数の問題を解くような正解は、ほとんど期待できない。わたしたちにできるのは「正解はないが、様々な見方がある」という原理原則をきっちり抑えておくこと。
→ たしかにですね。そのような考え方、捉え方でないと、どしても偏りがちになります。かといって、無知のさなかでは、どれも疑い、どれも信用できない。じゃあ何を「真」とするかは難しい所です。特に知らない世界では(相当な知性を積み上げてこそ達成できる軸と感じる)つまり、信用というより、出来事に対し、常に一歩下がってみる視点かな。
知に向き合う姿勢には、謙虚さがなければならない、知に向き合う謙虚さがあれば、「さまざまな視点」「さまざまな意見や見方」があることも許容できる
→ これはエンジニアという職業でも得に大切にしなければいけない姿勢ですね。とくにコードレビューではさまざまな意見や見方を許容というか、超勉強になる。(それが許容といえば許容になるのかな。ちょっとエラソーだけど)
「血肉」という言葉がある。血液と肉という意味で、「自分のからだを形づくっているもの」のことだ。血肉と同じように、「世界観」を学んで自分の血肉のようなものにしたい。
「世界観」を学んで、自分の「血肉」として育てていく。これこそが「読むこと」の最終的な目標
→ 「知肉」。わかりやすいたとえですね。この「読む力」の本の目的だと思います。本書の後半は具体的なツールを使った「σ(゚∀゚ )オレはこうしてる」メソッドが述べられています。(参考程度に、自分のやりやすいやり方が一番)
「だらだら」は長続きする。集中力が必要なく、おまけに楽しいからだ。しかし、これは目の前の仕事には当てはまらない。ミスを犯してはならないし、アイデアなども生み出さなければならないし、おまけにたいていは楽しくないからだ。
→ やっぱ「だらだら」は楽だもんね。しかも楽しいときた。なんか著者が仕事に対してもたいてい楽しくないとか述べていると、気持ちが少し楽になりますね。「あーこういう人でも楽しくないと感じたり、だらだらも楽しいと感じるもんなんだな」と。
学びはじめのころには、「自分はほかの人より専門的な知識がある」という優越感に浸りやすくなり、自信が高まる。しかしさらに学びが深まると、「自分の中途半端な知識がいかに貧しいものだったのか」がまざまざとわかるようになり、
断言したり言い切ったりできなくなって、発言が慎重になる。自信もなくなってくる。この段階を越えると、ようやく本当の専門性が身について、自信も回復してくる。そうやって本当の知識を持っている人は、「いまわかっていることだけではすべては説明できない」
「じつは世界はもっともっと奥が深い」ということをよくわかっている。「人類の知識には限界がある」という事実にも気づくようになるのだ。だから彼らは決して断言したり、強い口調で話したりしない。だから何事にも過剰に断言している人、強い口調を使っている人は、たいてい知的な人ではない。
→ これ、エンジニアあるあるで、学びはじめから、ある程度自分で開発とかできるようになると「オレすげえ」になる人、結構います。そこで本当の意味で優秀な人と二極化されてしまうと思うんですね。やっぱり、謙虚な姿勢はいつ何時でも大切だけれど、人はそういう大事な姿勢をも平和な日々の中で忘れがちになるのも事実。
人は変わるもので、たとえ知的な人であっても、その姿勢一つで、悪い方へ変わってしまう。いつでも人は良くも悪くも変化するものだから、常に心にとどめておきたい事柄ですね。感謝と謙虚を変わることなく持ち続ける人生を歩めれば、それはどんな出来事があっても結果的には満足いくものになるのではないでしょうか。(あれ、ちょっと話変わった...?)
書籍の意味とはなんだろうか。ひとことでわかりやすくいってしまえば、情報が集約され網羅されていることだ。言い換えれば、そのテーマについての全体像をつかみやすいということである
→ インターネットでググって知識を得ることも必要だけれど、書籍の意味、テーマの全体像をつかむ、特に大事な意味合いだと思います。
(1冊の本の中で)本質の部分は、実際にはもっと抽象的な文章で説明されている。しかし抽象的な文章は読みにくいから、ついそういうところは読み飛ばしてしまい、わかりやすいエピソードや会話だけを拾い読みしてしまう人は案外多い。これでは理解は深まらない。だから次の鉄則を掲げておく。「1冊の本の中で、抽象的で難しそうな部分こそ、丁寧に熟読せよ」
→うーん、なかなか難題ですね。でも、最近は読んでいる本、購入しようかとサンプルを読んでいる時は「この本は何を目的としているのか」「読むことによって何を得ることができるのか?」と注意深く考えながら読むことを意識するようになりました。(ま、1歩進んだのかな...)
読んでいる本の本質を捉えることができるのは新たな視点を手に入れたり、全体像をつかめることにつながると思うので、更に意識しながら読んでいきたいですね。
コンピューターは記憶力は抜群だが、「物語」を編み。体系にするような思考能力はない。そういう能力は人間の頭にしかない。人間の脳は「概念」をつくるのは得意だが、記憶力は弱い。だったら、人間の頭とコンピューターの2つが協力して、苦手なところを補い合えばいいのである。
→ 過去のブログ記事にも書きましたが、自分は本を読んだ後に「何も覚えていない感覚」になるのが嫌でストレスになっていました。そうならない様にもこうしてアウトプットの機会を大切しています。それと、忘れてもブログに残す(コンピューターに記憶させる)ことで、検索すればすぐに引っ張り出せますもんね。
(とて、概念を作ることを意識しなきゃですね...汗)
知的生産に必須の「五つの大前提」(まとめ)
知的生産のまとめとして。知識を得ていく上での原則として覚えておきたいなとそのまま原文を拝借させていただいております。
- 大前提①: 世の中にたくさんあるメディアを分別するところからはじめよう。
- 大前提②: 分別したメディアを活用して、「ニュースを読む解く流れ」をつくろう
- 大前提③: 読む目的は「たくさんの視点を獲得すること」を肝に銘じよう
- 大前提④: 読むことで得た「知識」「視点」を「知肉」にするのが最終目標
- 大前提⑤: 無理に集中しようとするのではなく、あえて「散漫力」を逆活用しよう
ここから、「読む力」では「具体的にどのように読めばいいのか?」というメソッドを例えを交えて指南が続いていました。
最後に
「読む力 最新スキル大全」は内容が濃く、ハイライト表示した箇所は実は紹介した以上にありますが、一旦膨大になりそうなので、ここらで終えることにします。(まとまりがなくてすいません...)
具体的なメソッドについても、よく指南されている内容です。ここまで読んで気になる方は一読してみてはいかがでしょうか。