「読みたいことを書けばいい」読みました。台本通り文章を「どう書くのか」に対し、答えはシンプルで「自分が読みたいことを書けばいい」ということ。以上。
で、終わるにはもったいなすぐる。言われていることがシンプルだからこそ、グサグサ刺さりました。あと、面白い。
本書のキーワードはずばり、「随筆」という言葉。その定義は「出会う事象に対し、自身が感じる心象を書くこと」を随筆と定義しています。
事象、心象とは、
事象: 見聞きしたことや、知ったこと。あらゆる「モノ、コト、ヒト」はそれに値する
心象: 事象に対し、感じたこと、心が動くこと
「読みたいことを書けばいい」では、文章を書く際のテクニックなどは全くといっていいほど書かれていません。でも、裏を返せば、それがテクニックともいえるかも。ちまたによくある文章テクニックのそれらとは正反対の主張です。
一つを例を挙げると、テクニックとしては文章書く際に必ず「ターゲット」を明確にしなければ、記事は読まれないという主張。本書では、そんなもんはいらん。まずは自分が読みたいものかどうかが重要ということ。
「読書」という行為は、基本的に自分の知らないことを知るという、学びの機会であって、本に書かれていることは基本的に受動的で主張されていることを素直に飲み込んでしまう側面があります。特に自分の知らない世界ではそうなりやすい。
自分はまだ「書く」という行為自体は始めたばかりだし、これから「文章を書く」とはなんぞやという勉強していく必要があるとも思い、ある日書店で偶然本書に出会いました。本書を読んだあとは、目からウロコとはこういうことかと思いました。
そもそも、よく考えなくても、「自分が読みたいかどうか」は常に根底にあるべきもので、書き手なら人に「読んでもらいたい」という誰しもが持つ願望が逆に「自分が純粋に読みたい」というものを見えにくくしている側面もあるのかなと思います。
まず、自分が読みたいものを自分自身が書くことができなければ、人にはもっと読まれないだろうというのは納得です。
「書くこと」は実はすごく奥が深いと最近感じていて、「自分が読みたい」と思う記事を表現することは実は難しい。また、書き続けることで、それもスキルとして上達していくはずなので、自分を自然と表現できるレベルまでは目標の一つとしたいと思いました。
ブログのPV増やしたい病にかかっている人にも今一度自身を見つめ直す機会として、一度本書を読むことをおすすめします。
特に気に入った箇所のハイライトです。
何を書いたかよりも誰が書いたか
難しいのは、反響には「けなす」だけでなく「ほめる」もある点だ。だが、褒めてくれる人に、「また次もほめられよう」と思って書くと、だんだん自分がおもしろくなくなってくる。いずれにせよ、評価の奴隷になった時点で、書くことがいやになってしまう。
他人の人生を生きてはいけない。書くのは自分だ。だれも代わりに書いてくれない。あなたはあなたの人生を生きる。その方法のひとつが「書く」ということなのだ。
書くことはたった一人のベンチャー起業
ライターになりたい人は、もっと起業家の話を聞いたほうがいい。彼らのように成功した人でも、10個目の商売でやっと成功したとか、成功するま5つ会社をつぶしたとか、勝負をかけたはずの商品が全然売れなかったとかを経て、いまの商売が当たったという人が多い。ライターも同じように、書いてみても、ほぼ駄目なことだらけだ。
文字がそこへ連れてゆく
悪い言葉を発すると、悪い言葉は必ず自分を悪いところへ連れてゆく。良い言葉を発すると、良い言葉は必ず自分を良いところへ連れてゆく。わたしはそのことを知った。
書くことは生き方の問題である
自分が読みたくて、自分のために調べる。それを書き記すことが人生をおもしろくしてくれるし、自分の思い込みから解放してくれる。何も知らずに生まれてきた中で、わかる、学ぶというこ
と以上の幸せなんてないと、わたしは思う。
特に、一番最後の「何も知らずに生まれてきた中で、わかる、学ぶということ以上の幸せなんてない」という箇所が大好きです。
著者の田中泰延さんも、家庭環境から図書館とか本に囲まれた生活を送られていたということで、やっぱり、読書を積み重ねている人は「個」を確立していると思えるし、自分もそんな人になるのが目標です。かっこええなあ。