「東大生が日本の100人の島に例えたら面白いほど経済がわかった!」読みました。本のタイトルは長いですが、内容は面白く、あっという間に読み終えてしまいました。
書店でかわいい絵とジャケット、内容をパラパラとめくると、確かにわかりやすそう!ということで購入してみました。
本書では、現代の経済は複雑になり過ぎているために、できるだけ簡単な例として、島に100人、ニホン島など名前をつけ、人の区別にかわいい動物に置き換えて経済の話を進めてくれます。
国家としての役割や、お金の話、景気と物価、貿易のこと、そして、最後は、大多数国が主軸としている資本主義社会において、穴ともいえる格差の問題にどう対処していくか、という所に焦点をあて、現状のまま格差が広がっていけば、歴史上「戦争、革命、崩壊、疫病」といったことでしか格差のリセットができなかったことに警鐘を促します。
持続可能な経済システムを各国が作り上げることができれば、別に「資本主義」であろうが、「社会主義」であろうが、はたまた全く別の主義であろうが、「全ての人が幸せに暮らしていける社会」を築き上げることが人類にとって最大の目標であるということ。
それは「国全体の問題」であり、国民一人一人が今の経済の仕組みをまずは知っておく必要がある、と著者は訴えます。
あとがきには、少しでも面白いと感じたら是非、口コミやレビューをしてもらって、一人でも多くの方にこの経済の本を読んでいただきたい、そして経済のことを一緒に考える人を一人でも多く増やしたい、ということでした。
自分は経済のことを自信を持って人に話せる状態ではないですし、スティグリッツなどの本を読んでも途中で挫折(なんとなくそっと閉じる的な...)していたので、また本書をスタートにしつつ、経済について理解を深めていきたいと思いました。
本書のイラストはとてもかわいいです。経済のことをわかっているようでその実感がない方、難しい話が苦手な方もオススメの一冊です。
以下、特に印象に残った箇所です。
国は税金を財源にしていない
現在の税制度において、「税」は日本政府の財源ではありません。略
現代の「税」は、通過に価値を持たせ、望ましい状況を促進し、望ましくない状況を抑制するためのものです。そのため、「公務員は、私たちの税で食っている」「高額納税者をもっと優遇しろ」「年収が低い人間は、払っている税金が少ないから社会のお荷物だ」といった主張は正しくありません。
大切なもの
いまもこの世界には、少数民族など、お金が無い社会で生きている人たちがいます。
お金は、人間という動物の群れを効率よく強くするための、便利な道具にすぎません。借金があっても、それはただの数字です。
最悪、自己破産という手続きをすれば、0に書き換えられるものです。お金で悩み苦しみ、命を絶つ必要はありません。
あなたが80歳になった時、
お金がいくらあっても、
「若い頃に世界を旅した思い出」を買うことはできません。お金がいくらあっても、
「長年続けてきた趣味の腕前」を買うことはできません。お金がいくらあっても、
「腐れ縁の友達」を買うことはできません。お金がいくらあっても、
「心から信頼できるパートナー」を買うことはできません。お金がいくらあっても、
「親と温泉旅行に行った思い出」を買うことはできません。お金がいくらあっても、
「子供が書いてくれた下手くそな似顔絵」を買うことはできません。略
どんなお金持ちになったとしても、老いて床に伏し、
最後に人生を振り返った時、あなたの脳裏に浮かぶものは
「山のようなお金の束」でも
「貯金残高の数字」でもなく、きっと
「親の顔」
「友人の顔」
「愛する人の顔」
「楽しかった思い出」
「悔しかった瞬間」
などもっと大切な景色が駆けめぐるはずです。人生は一回きりです。
技術を、経験を、
友人を、心を、
愛を、家族を、
大切にして生きてください。お金はもちろん大事ですが、それだけにとらわれて、
大切なものを逃すことが無いように。
「大切なもの」を読むだけでも、本書を購入する価値はあります。