BOOK LIFE

悪魔を出し抜け!: ナポレオン・ヒル

※本サイトはPR表記を含みます。


悪魔を出し抜け」読みました。著者は元祖、自己啓発の第一人者、ナポレオン・ヒル。「思考は現実化する」が代表作とされていますが、個人的には本書が一番好きです。

始まりから、第三章まではナポレオン・ヒルの自伝になっていて、アンドリュー・カーネギーからの成功哲学の本を20年かけて作り上げる依頼を受け、その苦難の連続が書き綴られています。

ナポレオン・ヒルの自伝については、他の著書でも紹介されているので、詳細は割愛します。
なんといっても、本書の魅力は、本当かどうかはさておき、「悪魔との対話」の記録が長く綴られています。

一部宗教を否定するような記録もあるので、当時は弾圧を避けるために(命の危険性も考慮されたと思う)ナポレオン・ヒルの生前に本書が世に出ることはありませんでした。

悪魔との対話で興味深いのは、人は基本的に悪魔の「ヒプノティック・リズム」という一種の習慣に絡めとられている存在であり、その割合はなんと、100 中 98 人までが「流される習慣」に落とし込まれている、とのこと。

そして、流される習慣を抜け出すには常に「明確な目標」を持ち続け、自分の頭で考えることをする人間である。と定義されています。

人を流される習慣に落とし込めるために、悪魔は人間の日常にさまざまな罠を張り巡らせていて、代表的なものは酒、たばこ、性欲、食欲、など、要は自制する習慣を保つことができない者、欲に流されてしまう者、そうした人間が少しずつ「流される」習慣の沼にハマる仕組みです。

結果的に、這い上がることができない(自己を改善することができない、自分を見つめ直すことができない状態)になっていきます。

「確かに」と思う部分が各所にあり、改めて、生活習慣を常に見つめ直す癖、そして、時間を無駄にしない習慣、悪魔との対話がどうのこうのというより、そうした自己確立を強く促してくれる良書です。あまりにも、参考になる所が多すぎて、ハイライトは10000文字以上になってしまいました。

目にとまったキーワードの箇所を読み、強く響くものがあったなら、本書に目を通す価値は「アリ」です。

「悪魔を出し抜け!」は紙書籍は、プレミア価格になっています。KindleUnlimitedの対象なので、そちらで読むことをお勧めします。
ちなみに、僕は紙書籍も購入し、Kindleで読みました。(それぐらい人生においてマストです)

■ Kindle

■ 書籍

ナポレオンヒル(著)田中孝顕(訳)『悪魔を出し抜け!』レア品
ノーブランド品

以下、ハイライトです。(会話の抜き出し箇所もあるので、わかりにくい箇所があります)

アンドリューカーネギーとの出会い

「失敗」に見舞われたときほど成功に近づいているときはない。なぜなら、そういうときこそ人は考えざるを得ないからだ。正しく、かつ粘り強く考え続ければ、いわゆる「失敗」も、新たな計画や目標で自分自身を装備せよという合図にすぎないということがわかる。

敗北を勝利に転換する

幸福を見つける唯一の方法は、他者が幸福を見つける手助けをすること

人生で最高の瞬間

人が「もう一人の自分」を見つけるのは、たいてい何らかの危機的状況に陥って、それまでの習慣を変えたり、その逆境からなんとか抜け出そうと頭を悩まざるを得なくなったときだと。

不思議なところからやってきた不思議な「命令」

疑い、恐れ、不安、そして限界をもたらすあらゆる思考は頭の外に追いやるように

「失敗」は実は恵みなのだ

過去の偉大な指導者たちの中で私が記録を調べた人々は、一人残らずその「到着」の前に、困難にさらされたり、一時的な敗北に襲われていたことだった。

何かを手に入れたいのなら、まず与えることが大切だ

「もう一人の自分」から、祈るときは目標だけに集中し、実現するための計画のことは忘れろと教わった。もちろん、計画もなしに具体的なものが手に入るわけではない。ただ、私が言いたいのは、思考や願望を現実にする力は「無限の知性」からやって来るのであり、実現するための計画については、祈っている本人よりも「無限の知性」の方がずっとよく知っているということだ。

祈りの際にはすべてを宇宙意識にゆだねるのが得策だということだ。

祈って得られるものは(その祈りが聞き届けられればの話だが)、たいていの場合は、目標を達成するための実際的で具体的な計画なのだ。ただし、その計画はその後、本人の努力によって磨きをかけなければならないが。
少しでも恐怖に染まっている心で祈りがうまく働いた例を、私はこれまで一度も見たことがない。

新しい祈り方

そして、欲しいものをあれこれとゆだねるのではなく、すでに持っているものを自分が無駄にしないようにと祈る。これはなかなかいいやり方だと思っている。

見逃してきたサイン

もし、あなたが自らの信じるところを変えることができたならば、必ずや自分の物質的、経済的状況を変えることもできるだろう。

心はあなたが持つ最も支配的な願望、あるいは最も目立つ願望に反応する。このことにたった一つの例外もない。

成功はいつも信念から始まる

すべての物質の元となる原子には一つの力(あるいは第一原因、あるいは叡智)が充満していて、さらにそれは人間が感知することのできるすべてのエネルギーも内包している。その叡智つまり「無限の知性」により、ドングリ樫の大木へと成長し、水は重力の法則に従って低地へと流れ、昼のあとには夜が、冬のあとには夏がやって来る。あらゆるものが、位置を変えることも、互いの関係を崩すこともない。そして、その同じ「無限の知性」が人間の願望を現実の形あるものに変えるのだ。

悪魔との対話

人間の意識をコントロールするのに最も適した道具は恐怖だ。人間の意識に恐怖の種を植え付けると、やがてその種が芽を出し成長する。そうやって、恐怖が占拠した空間を私がコントロールするのだ。恐怖の中でもとりわけ次の六つが最も効果が高い。
貧困、非難、病気、失恋、老い、そして死への恐怖。

私にとって一番居心地のいい物理的な場所は人間の意識の中だ。すべての人間の脳の一部は私が支配している。それがどのくらいの範囲になるかは、その人間が何をどのくらい考えているかによる。さっきも言ったように、私は考える人間を完全に支配することはできない。

人間が生きている間に彼らの意識を支配する方法はいくらでもある。まず、物質的な富の蓄積をあきらめさせる。貧しい人間はあまり考えることをしなくなるので、それだけ私の餌食となりやすい。私のもう一つの大きな味方は病気だ。肉体的に健康でないと、きちんと考えることができない。

Q. あなたの最大の敵は誰ですか?
自発的に考え行動を起こすことの重要さを人間に気づかせようとする者はみな私の敵だ。ソクラテス、孔子、ボルテール、エマーソン、トマス・ペイン、エイブラハム・リンカーンなど。おまえも、あまり私の助けになるようなことはしていないな。

たばこは人間の粘り強さをダメにするのだ。忍耐力と集中力を失わせ、想像力を弱める。他にもいろいろな方法で、人間が自分の意思を最大限に活かそうとするのを邪魔する。

流される習慣

私が人間に使う最大の武器は、二つの秘められた原理からなっている。その原理によって私は人間の意識を支配しているのだ。一つ目は習慣の原理だ。私はこの原理を使って人間の意識に密に入り込む。この原理を働かせることで、私は「流される」という習慣を(できればこの言葉は使いたくないが)確率させるのだ。

私はあらゆる場面で人間を「流される」よう仕向けており、それによって、彼らの自主的な思考や行動をコントロールしている。その一つが、健康の問題だ。私の誘導によって、人間は食べ過ぎたり、間違った食べ物を食べたりする。これによって消化不良が起こり、正しく考える力が破壊される。

どんな階層の人間にとっても、失敗する原因で一番多いのは「流される」ということだ。何か一つでも「流される」習慣を身につけさせることのできた人間は、みな私の支配下に入る。その理由は二つある。一つは、「流される」人間はどこまでも私の言いなりで、私の好きなように形作ることができること。人間は「流される」と、個人の自発性が破壊されるからだ。二つ目は、「流される」人間は対抗勢力から援助を受けることができないこと。対抗勢力は、「流される」人間のように軟弱で役に立たないものに惹きつけられることはない。

Q.仮に「流される」というこの忌まわしい習慣から解放させてやりたくなったとしたら、あなたなら彼らにどんなメッセージを送りますか?
目覚めよ、そして与えよ!

Q.何を与えればよいのでしょうか?
できるだけ多くの人に貢献できることをすればいい。

最も重要な告白

Q.他にはどんな方法を使って人間を「流される」ように仕向けるのですか?
非常に効果があるのは「失敗」だ!ほとんどの人間は、何かにぶつかったとたん「流される」ようになる。二度三度と失敗しても挑戦し続けることができるの一万人に一人もいない。

失敗した人間は、モラルを失い、自身を砕かれ、熱意は弱まり、想像力は衰え、そして明確な目標を見失う。

どんな失敗にも必ずそこにはそれに見合うだけの成功の種が含まれている

■ Kindle

■ 書籍

ナポレオンヒル(著)田中孝顕(訳)『悪魔を出し抜け!』レア品
ノーブランド品

悪魔が人間の最も欲しいものを賄賂として使う

中でも効果的なのは、

・愛
・性衝動
・金銭欲
・タダで何かを得ることへの執着、つまりギャンブル
・女なら虚栄心、男ならうぬぼれ
・他人を支配すること
・酒と麻薬
・言葉や行動によって自分を表現すること
・他人を模倣すること
・死後も永遠なる生命を持つこと
・英雄になること
・食べること

相手の欲望を強化し、金を追い求めるように仕向けるという意味だ。そして、あと少しでその金が手に入るというときに、その金を目の前から奪い去る。
これはずっと昔から使っているトリックだ。同じことを二回か三回も繰り返せば、相手は負けを認めてあきらめてしまう。そうなれば、相手の意識の中での私の陣地が少しだけ広がり、今度はそこを貧困への恐怖でいっぱいにする。
恐怖は私が人間の意識を満たすのに一番よく使うものだ。

あなたは彼らの持つ自然な欲望を利用して賄賂を贈り、相手がその罠に引っかかると、今度は「流される」という習慣をつけて道に迷わせる。罠に引っかからなかった者は、その意識の中に恐怖の種を植え付けるか、何らかの不幸に引きずり込んで。彼らが落ち込んでいるすきに両手両足を縛り上げる。これがあなたの使う方法なのですね?

心身ともに健全であれば、「流される」習慣から身を守ることなど誰にでも簡単にできることだ。

次の簡単な方法によって自己防衛は可能となる。

① どんなときも自分の頭で考えること。人間が完全にコントロールできるのは自分の頭で考えるという能力以外にはない。この事実は重要である。
② 自分が人生に望むものを明確にすること。そして、それを実現するための計画をたて、必要とあれば、永遠の敗北以外はどんな犠牲も喜んで払うこと。
③ 一時的な敗北をしたときは、その内容や原因に関わらず分析をし、それに見合うはずの成功の種をそこに見つけること。
④ 人生で獲得したいと思う物質的な富と同じだけの価値を持つサービスを喜んで他者に与えること。しかも、与える方を先に。
⑤ 自分の脳は「無限の知性」から情報を得るための受信機であり、その普遍なる知恵の貯蔵庫と周波数を合わせることで、自分の願望を具体的なものに転換することができるということを理解すること。
⑥ 時間ほど大きな財産はなく、時間は思考の力以外で人間が完全に自由にできる唯一のものであり、自分の望むどんな物質にも転換することのできるものであることを理解すること。一秒たりとも無駄にしないよう時間の配分に気をつけること。
⑦ 恐怖とは、たいていの場合、人間の意識の使われていない部分を悪魔が占拠するために使うものだということを理解すること。恐怖とは人間の意識が作りだすものであり、望みさえすれば何でも手に入れることができるという信念で意識を満たしていれば、恐怖も追い出すことができる。
⑧ 祈るときは、お願いをしてはいけない!自分の欲しいものをはっきりと要求し、代用品などでは決してごまかされないと宣言すること。
⑨ 人生とは厳しい修行の場であり、その監督者となれるのは人間と人生どちらか一方だけであることを理解すること。その中間はなく、また妥協点もない。人生から自分の望まないものを差し出されても決して受け取ってはいけない。たとえそれがいっときのものだったとしても、自分の意思でそれを拒否する力が人間にはあるし、そうすることによって、本当に自分が望むものを招くことができるのだ。
⑩ 頭がある考えで支配されると、それは必ず大自然の法則によって、最短最適ルートを通り、現実の形となって具体的に目の前に現れる。そのことを忘れず、自分の考える内容は常に注意をすること。

まとめると、
常に自分の行動を明確に把握し、中途半端にものを考えたりしないこと。何事も明確に決定していくという習慣をつけること。

ヒプノティックリズム

あらゆる思考のひらめきは、習慣を通して何度も意識の中で繰り返されることにより一定のリズムを作り出す。望ましくない習慣を壊すことは可能だが、それはこのリズムが作り出される前でなければならない。

リズムとは習慣の最終段階なのだ!どんな思考も、どんな体の動きも、何度も何度も繰り返されるうちに、習慣の原理によって、最後はあるリズムを形成する。

自分という存在が永久消滅しないようにする唯一の方法は、生きている間に自分の意識をしっかりコントロールしておくこと

人間が真実の中でも最大の真実を学ぶようになるということだ。その真実とは、自分の持てる時間を恐怖に怯えて過ごすのではなく、もっと別のことに用いれば、物質世界で望むものはすべて手に入るし、死後の世界では悪魔から逃れることもできる。

Q.本物の「考える人」がなかなか現れないのはなぜですか?
批判されることを恐れるからだ!これはおまえにとっても関心のある話だと思うが、批判への恐怖は私が人間を鞭打つのに使える唯一の武器なのだ。だから、もし仮におまえが私から聞き出したこの告白を何の恐怖も感じずに本にしたとしたら、私はこの地上での王国を失うことになるだろう。

真実という宗教だ!自然法則という宗教だ!もしこの世に、生命の死という深遠なる謎を探る脳力を持った、正しく考えることのできる人間が存在するとしたら、そんな破滅的状況を作り出した責任は科学にあると言って間違いない。

Q.「流される」人間は、その習慣を絶つにはまず何をしなければならないでしょうか?

その習慣を絶ちたいという燃えるような願望だ!おまえも知っての通り、催眠術はかかりたいと思う者しかかからないものなのだ。催眠術にかかりたいというその気持ちは、たいてい人生への無関心から生まれる。野心のなさ、恐怖、明確な目標の欠如、他にもたくさんある。大自然は、人間をヒプノティック・リズムの魔法をかけるのに本人の同意など必要としない。何でもいいから相手が自分の頭を使うのを忘れているときを狙って、不意打ちをかけるのだ。よく言うではないか。どんなものも、使わなければ失うことになると!

ヒプノティック・リズムとは本質的に、精神的なものであれ、肉体的なものであれ、どんな習慣も永続的に固定しようとするものなのだ。貧困を恐れれば、貧困が引き寄せられる。富を欲し、それを強く望めば、具体的な物や金となって富が引き寄せられる。これこそが永久に変わることのない大自然の法則なのだ。

Q.運などというものは現実には存在しないのですか?
「運」と「奇跡」という言葉はまるで双子だ。どちらも人間の想像の中にしか存在しない。どちらも理解できないことを説明するために人間が使うものだ。いいかね。実在するものには必ず証拠がある。この真実を肝に銘じておけば、おまえも「考える人」としてさらに上を目指せるだろう。

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ナポレオンヒル(著)田中孝顕(訳)『悪魔を出し抜け!』レア品
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Q.あなた(悪魔)には人間の意識以外に活躍の場はあるのですか?

・私は稲妻の閃光である。
・私は病気の苦しみや肉体的苦痛である。
・私はあらゆる戦争を指揮する見えない司令官である。
・私は貧困と飢餓を統制する隠れた管理官である。
・私は一流の死刑執行人である。
・私は肉欲を刺激する。
・私は嫉妬、義望、貪欲を生み出す。
・私は恐怖を扇動する。
・私は天才的手法で科学者の功績を死の道具に変える。
・私はあらゆる人間関係の調和を乱す。
・私は正義と対立する。
・私はあらゆる反道徳的行為を奨励する。
・私はあらゆる道徳的行為を行き詰らせる。
・私は懸念、不安、迷信、狂気である。
・私は希望と信念を破壊する。
・私は暴力的なゴシップやスキャンダルを助長する。
・自由で自主的な思考を妨げる。

つまり、人間のあらゆる不幸を生み出し、あらゆる落胆と失望を引き起こすのが、この私なのだ。

「流される」ことのない人間は、チャンスが目の前に置かれるのを待っていたりしない。自分の人生でやりたいことや、そのために必要なものに合わせて、自らチャンスをつくり出すのだ

Q.「流される」ことのない人間は、ヒプノティック・リズムの影響から逃れることができるほど賢い人たちなのですか?
「流される」ことのない人間がヒプノティック・リズムの影響から逃れたいと思う理由は特にない。なぜなら、ヒプノティック・リズムは彼らにとって都合がいいからだ。ヒプノティック・リズムを使えば、自分の目的や計画や目標を何度も思い描くことで、それを現実の形に転換できる。ヒプノティック・リズムは彼らの思考習慣を固定化し、永久的なものにする。

引き寄せの法則

悪魔は恐い、神は信用できない。となれば、おまえが宇宙の力を利用できる途はただ一つ。自分の持つ思考の力を信じ、それを使うことだ。それが、「無限の知性」を蓄えた偉大なる知恵の宝庫へ直接つながる道なのだ。

人間の意識は、繰り返し考えたことを引き寄せるようになっている。

大自然は、あらゆる場所でその環境特有のリズムを生み出している。そして、そのリズムの及ぶ範囲にあるものは、すべてそのリズムに同調するように作られている。唯一人間だけが思考によって自分独自のリズムを作り出す力を持っている。

代償の法則

どんな人間も、目的や計画を明確にすることさえできれば、人生で望むものを何でも手に入れることができる。

一度でも躊躇したり、先延ばしにしたり、不明確な態度をとったりしたら、その人間は私の支配のすぐそばまで近づくことになる。

常に明確な目標を持とうとする習慣を除いて、すべての習慣は人間を「流される」という習慣に引きずり込む。

計画と目標の両方において明確な人間は、たとえ敗北してもそれを一時的なものとは考えず、さらなる努力を促すものとして受け取る。それを明確な意思のもとに続けていけば、勝利以外の結果はあり得ない。

時間とは不道徳と不正の敵であり、道徳と正義の友である。このことに気づかないことが昔から世界中の若者の間で犯罪が多い原因なのだ。

善と悪は、常に同時に存在している

衝突や仲たがいは必ず「流される」という習慣を生み、当然そういう人間は明確でいることもできなくなる。

まず初めに義務を負うべきは自分自身なのだ。すべての人間は、幸福で充実した人生を自分に与えるという義務がある。それを達成し、もはや自分の願望の実現のためには時間もエネルギーもそれほど必要なくなったという人間だけが、他人を助けるという義務を負うことになる。

本当は、子どもたちが自力で知識を得るよう仕向けなくてはならないのだ。

明確な目標のない祈りに効果はまったく期待できない。明確な目標を持って祈れば、ヒプノティック・リズムを使ってその目標を達成することができる。それがまさしく「無限の知性」の偉大なる宝庫から知恵を拝借するということなのだ。

ほとんどの人間にとって、祈りとは何もかも失敗したあとの最後の手段だ。当然、彼らの意識はどんなに祈っても叶えてもらえないのではないかという不安で満たされている。だから、その不安が現実のものとなるのだ。
明確な目標を持ち、それが必ず実現するという信念のもとに祈る人間は、大自然の法則を動かして、自分の強い願いを現実の形あるものに転化させることができる。祈りとはそもそもそういうものなのだ。

「無限の知性」は、自ら法則を理解しそれに従う者だけにその力を分け与える。人間ができているとか、性格が明るいとか、そういったことでは差別しない。

人間はまだ完全には目覚めていない。だから、そのような特権を自分が持っていることに気づいていない。いまだに自分たちのことを土中に住む小さな虫けらのように思っている。実際には、他の生き物が束になってもかなわないほど強い力を持っているのだ。

人間にとって少しでも価値ある救いがあるとしたら、それは自らの意識の力を自覚することによってしか得られない。人間に必要な救いは、無知と恐怖からの救いだけだ。

学校教育を改善するためのロードマップ

・いまのやり方を逆にして、子供たちに自らの学習を指導する権利を与え、教師が生徒に抽象的な知識を授けるだけの従来の方法はやめる。教師に生徒の役目を、生徒に教師の役目をもたせる。
・可能な限り何事も生徒が自発的な行為により学んでいくという明確な体制を作る。また、授業の内容は、日常生活の問題とつながりのある具体的な作業を必ようとするものにする。
・あらゆる成功はアイデアをつかむところから始まる。生徒には、自分の頭に浮かんだアイデアが自分の人生で望むものを手に入れるのに実際に役立つものかどうか判断する方法を教える。
・生徒には、時間の配分の仕方と使い方を教える。そして何よりも、時間が人間の持つ財産の中で最も重要で、最も安価なものであることを教える。
・生徒には、人間の持つ最も基本的な衝動を教える。そして、人生の必需品も贅沢品も、すべてその衝動を利用することで手に入れる方法を教える。
・生徒には、何をどう食べるべきかを教える。そして、正しい食生活と心身の健康の関連性についても教える。
・生徒には、性衝動の本質とその働きを教える。そして何よりも、性衝動は自分を成功という頂点に上らせる原動力に転換できることを教える。
・生徒には、あらゆることについて明確であるように教える。その最初が、人生の明確な目標を持つことなのだ!
・生徒には、習慣の原則が持つ長所と短所を、その本質と可能性の両面から教える。説明の際には、子供も大人も経験する日常生活の具体的な場面を可能な限りたくさん例に挙げること。
・生徒には、習慣がヒプノティック・リズムを通して固定化される様子を見せ、低学年のうちでも、習慣が習慣を呼んで、その結果自分の頭で考えられない人間になることを教える。
・生徒には、一時的な敗北と本物の失敗の違いを教える。そして、あらゆる失敗に含まれる、それに見合うだけの成功の種を見つける方法も教える。
・生徒には、自分の考えは何でも恐れずに表現することを教える。また、他人の考えに対しては、受け入れることも拒絶することも自由であり、常に自分の判断で物事を決める権利が自分にはあるということを教える。
・生徒には、決定はすばやく行うよう教える。そして、必要のある場合だけ、ゆっくりしぶしぶ変更し、明確な理由もなく変更することは決してしないことを教える。
・生徒には、人間の脳が大自然の偉大なる知恵の宝庫からエネルギーを受け取る受信機であることを教える。そのエネルギーは明確な思考にしか反応せず、脳の機能は思考にあるのではなく、思考を惹起する刺激を解析することにあることを教える。
・生徒には、精神の調和を保つことの重要性を教える。そして、精神の調和は自制心によってしか保てないことも教える。
・生徒には、自制心の本質と重要性を教える。
・生徒には「収穫逓増の法則」というものがあることを教える。そして、この法則は実際に運用することができるし、そうすべきであることを教える。つまり、常に求められるよりも多く、またはより上質のサービスを提供することを習慣とすることを教える。
・生徒には、「ゴールデン・ルール」の本質を教える。そして何よりも、この原則の働きにより、他人に対し、あるいは他人のために行ったことは、すべて自分に還ってくることを教える。
・生徒には、自分の持つ意見はすべて、明らかに理にかなっていると思われる事実あるいは思想により支えられていなければならないことを教える。
・生徒には、たばこ、酒、麻薬、過度の性行為が意思の力を破壊し、「流される」という習慣をつくるものであることを教える。ただし、これらの行為を禁止してはいけない。その説明だけに留める。
・生徒には、親であろうと宗教指導者であろうと、他人が言っていたことを、単にその人がそう言っていたからという理由だけで信じてしまうことの危険性を教える。
・生徒には、事実は、自分にとって心地いいものもそうでないものも、言い訳や口実に頼ることなく、すべてをありのままに受け止めなければならないことを教える。
・生徒には、第六感を使うことを奨励する。そして、第六感を使って未知のソースからもたらされたさまざまなアイデアを慎重に吟味するべきことも教える。
・生徒には、ラルフ・ウォルド・エマーソンの説く「代償の法則」を全面的に取り入れるように指導し、その法則の働きを日常生活のささいな場面を例にして示す。
・生徒には、明確な目標を明確な計画のもとに粘り強く継続的に追い求めることが、人間にとって最も効果の高い祈りであることを教える。
・生徒には、この世で自分が占める空間は、自分が世の中に提供するサービスの質と量によって決まるということを教える。
・生徒には、すべての問題には適切な解決策があり、その解決策はたいていその問題を作り出した環境の中に見つかることを教える。
・生徒には、あらゆる限界は、自分が自分の意識の中で作ったか、あるいは他人が作るのを許したか、そのどちらかでしかないことを教える。
・生徒には、自分が思っていることや信じていることはすべて実現できる!ということを教える。
・生徒には、頭脳を発達させる基本的手段として校舎や教科書は必要かもしれないが、本当の意味で学校と呼べるのは、経験から学ぶという特権を行使することのできる人生という名の大学であることを教える。
・生徒には、常に自分自身に対して正直であることを教える。すべての人間を満足させることはできないため、自分自身を満足させられればそれでいいということを教える。

Q.罪の中でも一般的なものをいくつか挙げてください。
食べ過ぎは罪である。なぜなら、それによって健康と幸福を失うから。
性に溺れることは罪である。なぜなら、それによって意思の力は破壊され、「流される」習慣に引きずり込まれるから。
羨望、貪欲、恐怖、憎しみ、狭量、虚栄心、自己憐憫、落胆などといった否定的な思考で自分の意識が占領されるのを黙って見ていることは罪である。なぜなら、そのような心の状態によって「流される」習慣に引きずり込まれるから。
いかさま、うそ、盗みは罪である。なぜなら、それが習慣になると、自尊心は破壊され、良心は損なわれ、その結果、不幸を招くことになるから。
無知から脱しようとしないのは罪である。なぜなら、それによって貧困に陥り、自尊心を失うから。
自分の望まないものを人生から受け取ることは罪である。なぜなら、それは自分の頭で考えていなことの表れであり、許されないことだから。

いかなる人間にも自分の意識から否定的な思考を追い出す力が秘められており、したがって、その気になれば誰でも信念の力を利用することができる。

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ナポレオンヒル(著)田中孝顕(訳)『悪魔を出し抜け!』レア品
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自制心について

まず、自制心を持つことだ。これが七つの原則のうちの二番目だ。己をコントロールできない者に、他人をコントロールすることなどできない。自制心を欠くということ自体が、明確に生きていない人間が陥る最も危険な状態なのだ。

自制心を失う原因は主に三つある。その三つの欲求をコントロールすることだ。その欲求とは

・食欲
・性欲
・中途半端な意見を述べること

性衝動は人間を刺激する力の中でも最も強力なものだ。だからこそ、同時に最も危険な力ともなる。性への衝動をコントロールし、それを仕事への活力に転換することができれば、たとえば、異性ばかり追いかけてないで、その時間の半分でも仕事に費やせば、貧乏になどなりようがない。

Q. 性への衝動をきちんとコントロールし、適切に転換できたとしたら、どんな効果が得られるのか教えてください。

・身体機能を維持するのに必要なエネルギーを神経系に供給する。
・想像力を刺激し、有益なアイデアを生む。
・心身の動きが素早く、かつ明確になる。
・人生の目標に対し、根気と粘り強さが生まれる。
・あらゆる恐怖に対する解毒剤となる。
・落胆に対する免疫ができる。
・怠惰と先延ばしに対処できるようになる。
・どんな反対や敗北にも負けない強い体と精神力が与えられる。
・どんな状況でも自分を守れるだけの闘う力が持てるようになる。
一言で言えば、性衝動をコントロールできた者は勝者、出来ない者は敗者となるのだ!

Q. 性に関する正しい知識を得るというのは、人間にとってどれほど重要なことなのでしょうか?
上から二番目に重要なことだ。人間にとってそれより重要なものは一つしかない。それは正しく考えるということだ。

中途半端な意見を述べる人間は、事実を積み重ねることなく、想像だけで自分の意見や考えや計画を作り上げる傾向にあるからだ。

習慣とは伝染するものだ。どんな習慣も似たような習慣を引きつける。悪い習慣は悪い習慣を呼ぶ。その最たるものが「流される」という習慣だ。
しかし、それさえも、求められてもいないのに意見を述べるという習慣に比べれば、さして危険なものではない。この習慣に陥ると、自ら敵を作り、その敵の手に自分から恰好の武器を与えることになるのだ。泥棒や詐欺師、ゆすりたかりをする者は、こういう余計な手紙を書きたがる人間の名前や住所を大金を払ってでも買おうとする。なぜなら、そういう人間が簡単に自分たちの餌食になることを知っているからだ。彼らはどんな話にもすぐに乗り、結局金を失うことになる。彼らの仲間内では、そういう人間のことを「おバカ」と呼んでいる。

成功は、常に過去に経験した失敗の数に比例している

Q. ヒプノティック・リズムの法則は、プラスにもマイナスにも働くということですね。ヒプノティック・リズムの働きによって人間は、自由に考えるという特権を失って奴隷の身分に落ちることもあれば、逆に自由に思考を操ることで大成功を収めることもできる。その違いは、その人間がヒプノティック・リズムの法則にどれほど適応しているかによる。それで間違いないですか?

それで、間違いない。

失敗によって土壇場まで追い詰められた人間は、恐怖心を払拭し、別の方向へと進み出すことができるようになる。結局失敗は、それまでもっていた目標や、その目標を達成するための計画が誤りだったことを示しているにすぎない。それまでただ習慣で歩いていた道がとうとう行き止まりにきてしまった、その状態が失敗なのだ。行き止まりまで来てしまったら、その道はあきらめて、別の道を行くしかない。それが、新たなリズムを作り出すということなのだ。

個性というのは、その人間の習慣的思考がヒプノティック・リズムを通して、積極的な性格、あるいは消極的な性格として固定化されたものなのだ。

何をおいてもまず自分の習慣を変えることが先決だ。そうすることで、自分が欲している状況や物を明確にしていくのだ。

逆境に陥ると、人間は虚栄心とうぬぼれから解放される。また、他人の協力なしには何事も成功しないということに気づき、利己的でいられなくなる。
逆境に陥ると、人間は自分にどれほどの精神的、身体的、霊的力があるかを試される。それによって、自己の弱さと向き合うようになり、それを乗り越えることができるようになる。
逆境に陥ると、人間は人生の明確な目標を実現する方法を瞑想や内省的思考で探すようになる。これは多くの場合、第六感の発見につながり、それによって「無限の知性」とつながることができるようになる。
逆境に陥ると、人間は自分の外にも知性の源を求める必要があることを認識するようになる。
逆境に陥ると、人間は古い思考習慣を絶ち切り、新しい習慣を身につける機会を得る。そのため、ヒプノティック・リズムの呪縛から自由になり、その働きをマイナスからプラスに転じることができるようになる。

なかでも最も重要なことは、人間が自分でコントロールでき、永久に使うことのできるものは、自分の思考の力以外にはないということに気づくのだ。

どんな逆境にも必ずそこにはそれに見合うだけの成功の種が含まれているということだ。すぐにも満開の花が咲くというわけではない。ただ種があると言っているだけだ。その種には、たいてい何らかの知識やアイデアや計画が含まれている。あるいは何かチャンスが含まれているかもしれない。ただし、そのチャンスは、逆境に見舞われたために思考習慣を変えたという人間だけに与えられるものだ。

「無限の知性」とつながる

人間はヒプノティック・リズムによって、いま自分の置かれている環境の中で最も強い影響力を持ったものに合わせて自分の思考習慣を作ろうとする。人間関係はその最たるものなのだ。

人間の思考習慣は環境から受ける影響によって形成される。よって、その影響をコントロールすることのできる者は自分の運命を自ら支配することができる。そうでない者は運命の方に支配される。

大自然は「何もしない」とか「何もない」とかいう状態が嫌いなのだ。
人間が自分の脳を使って前向きで創造的なことを考えようとしないと、大自然はその「何もない」空間を満たそうとして、人間の代わりにその脳を使い、否定的なことを考えさせる。
脳に「何もしない」ということは許されない。

大自然はモラルなどには関心がない。正しいとか間違っているとか、正義だとかなんだとか、そんなことはどうでもいい。大自然に関心があるのは、あらゆるものがその本質にのっとって行動しているかどうかということだけなのだ。

知恵は、「流される」ことのない人間のように、常に自分の人生を肯定的な思考習慣で動かしている人間にしかもたらされない。

Q. 時間とは、自分の意識を肯定的な思考習慣に従うよう訓練する人間にとっては友人、否定的な思考習慣へと流される人間にとっては敵、そうあなた言っているようですがそれで正しいですか?

すべての人間は、「流される」人間かそうでない人間かに分類できる。「流される」人間は絶えずそうでない人間の言いなりになるしかない。そして、その関係は時間の経過と共に固定化されていく。

Q. 知識を知恵に変えるには何が必要でしょう?
時間、そして知恵を求める強い思いだ。知恵は決して、口を開けて待っていれば誰かが与えてくれる、というようなものではない。
前向きな思考を持ち、自分から努力を重ねてようやく得ることのできるものなのだ。それでも手に入れることのできないときもある。

Q. 人間が知恵を得るのは、どういうときが多いのでしょう?
逆境と失敗のときだ。大自然はこの二つの共通言語を使って、準備のできた人間に知恵を分け与える。

人間にとって、「流される」という習慣の次に危険なのは警戒を怠るということだ。
人間がいろいろと危険な状況に陥るのは、警戒することを怠り、何も計画もせずに行動するからだ。「流される」人間は、いつも警戒せずに行動する、まずは行動。考えるのはそれからだ。まるで考えないこともある。彼らは友人を選ばない。誰にでも従い、相手が向こうの都合だけですり寄って来ても何とも思わない。彼らは仕事も選ばない。とりあえず学校を卒業すると、最初に見つけた仕事に喜んでついて、衣食さえ満たされればそれでいいと考える。彼らは自ら進んで詐欺にあう。商売のルールというものを学ぼうとしないから。彼らは自ら進んで病にかかる。健康を維持するためのルールというものを学ぼうとしないから。彼らは自ら進んで貧乏になる。貧乏という環境の影響から自分を守ろうとしないから。彼らは自ら進んで失敗する。何をやるにも警戒を怠り、失敗した人から学ぼうとしないから。彼らは自ら進んで恐怖に陥る。どんなときも警戒を怠り、何が恐怖をもたらすのか考えようとしないから。彼らは結婚に失敗する。相手を選ぶときも、夫婦関係を築いていくときにも、注意を怠るから。彼らは友人を失う。ときにその友人を敵に回してしまう。彼らと適切な関係を築くことに注意しないから。

まとめ

「流される」という習慣、どんな習慣も固定化してしまうヒプノティック・リズムの法則、そして時間だ。

この三つの力により人間の運命はすべて決まる。それらがグループとなり一つの力として働くと考えると、そこにはまったく新しい、重要な意味が見えてくる。
さしたる想像力がなくても、あるいは大自然の法則をそれほど理解していなくても、自分の直面している逆境のほとんどは自分自身が作り出したものなのだということが誰にでもわかるはずだ。さらに、多くの場合、困難の原因はすぐ目の前の状況にあるのでなく、たいていは「流される」習慣と時間の経過によって、さまざまな状況が絡み合った結果生まれるものなのだということも。

答えを見つけるのはさほど難しくはない。しかし、天を見上げても無駄なことだ。私なら答えは悪魔に求める。悪魔ならきっと間髪入れずにこう言うだろう。勝利を得ることができるのは、自分が何が欲しいか知っていて、必ずそれを手に入れると固く心に決めた人間だけだと。

願いは心に強く念じることで現実のものとなる。
そのために必要なのは、明確な目標と、それを支える明確な計画。
そして、ヒプノティック・リズムと時間という大自然の法則を味方につけること!

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