BOOK LIFE

人生の壁 養老盃司

※本サイトはPR表記を含みます。

人生の壁」読みました。著作者は著名な養老先生です。タイトルについている「壁」はシリーズがあるということに、本書を購入した後に気づきましたが、タイトルが気になったので(誰でも一度は考えるであろう)購入しました。

本書で、一番心に残ったことは、「人生はそもそも厄介」という箇所や、「家族は面倒なもの」と一見そのまま聞くと耳を疑う?と思われるフレーズです。

実際、自分は子育ての中で、やっかいだと思うことはしょっちゅうだし、自分一人だとどんなに楽なんだろう、と思うことは日常茶飯事とは言わないまでもよくありますね。正直。

でも、養老先生はそれとは裏腹に、だからこそ、家族を持つべきだし、その厄介さが学習の機会になるのだと本書で教えてくれます。

本書を読んでいる最中、そうした視点が見えなくなり、子育ての悩み、問題だらけで最悪な事件を起こしてしまったある母親が脳裏をよぎりましたが、そうした人が本書に出会っていたりすれば、また、別の選択もできたのでは...と思ったりもします。(でも、そういう人は本を読む余裕すらなかったりするのが、また心苦しい...)

また、誰もが人生において、さまざまな出来事にとらわらず、執着しすぎないことが悩みを解決するコツだという箇所も、自分の座右の書である、小林正観さんの「淡々と生きる」に通じるものがあります。

僕はマジほんで「淡々と生きる」で人生が楽になった人です。どんな出来事も実は自分が望んでいるものだと気づける時、つらいことも受け入れることができるし、そこから前に進むことができる。

本書を読むと、タイトルは「人生の壁」とあるけれども、実は壁なんてものは存在しないのではないか、と思える事柄が書かれています。

created by Rinker
¥949 (2025/01/05 12:37:44時点 Amazon調べ-詳細)

以下、ハイライトです。

16: 子どもに手をかけたほうがいいという錯覚

子育てにあたって親が気を使うべきは、子どもを危ない目に遭わせないことと、食事をちゃんと与えること、そのくらいでしょう。
それ以上、手をかけてもかけなくても、実はそんなに結果は変わりません。

習い事だの塾だのよりも、むしろ兄弟姉妹がいたことのほうが、よほどためになったように思います。存在そのものに教育効果があるともいえます。
兄弟姉妹で助け合ったり、けんかしたりすることが、成長を促すのです。

18: 幼い頃は「褒めて育てる」が正解

これまでわかっているのは「乳幼児の時期に限っては褒めて育てるのが良い」ということでした。1、2歳くらいまでに褒めて育てた子どもたちと、そうでない子どもたちとでは、その後の社会での能力に差が出たといいます。
別に大きくなったら褒めなくてよいというのではなく、基本的に褒めて育てるのは、大切だともいいます。もちろんしつけは大切ですが、とくに乳幼児期には褒められることのほうがはるかに必要だということです。

21: 「ケーキの切れない非行少年」をどう考えるか

根本的なことを言えば、やる気のない者にいくら教えても無駄、ということは教育に関わった人なら誰でもわかっていることです。勉強に限らず、肉体労働だって同じで、やる気のない者にやらせたら大変でしょう。要はモチベーションのない子どもに、あれこれ働きかけてもあまり意味がないのです。
ゲーテは「学ぶには時がある」と言いました。時が来ていないのに、学ばせようとしても、仕方がないということです。

34: 偉業は意識して達成するものではない

仕事の本質は、目の前の穴を埋めることです。穴が空いていたら困る人がいるだろう、だから埋める。その延長線上に偉業があるかもしれないし、ないかもしれない。ここを理解していない人がとても多いのです。

67: 煩わしい日常を喜ぶ

若いうちは煩わしいことに嫌というほどかかわっていいのです。恋愛や結婚、子育ても煩わしいに決まっています。でも若いうちは体力があるから向き合える。さらに言えば、生きているうえでやることは、煩わしいことばかりです。
それをどう考えるかで随分人生は変わってきます。

184: とらわれない、偏らない、こだわらない

実のところ、人生相談に対する私の答えは、ほとんど次の三つです。
とらわれない、偏らない、こだわらない。
悩みを抱えている多くの人は、一つの見方にとらわれています。
だからとらわれない、偏らない、こだわらない姿勢を持ってはいかがですか、と言うのです。

187: 人生はそもそも厄介なもの

身内の問題で悩んだ経験のある人は余計に、家族なんてやっかいなだけだと思うかもしれません。また一生身内のことで悩まない人は滅多にいません。
それでもなお家族のようなものを背負うことには意味があると思います。
それは非常にいい学習の場になるからです。家とは人間および人間社会について学ぶ最小の単位といってもいいでしょう。
逆に言えば、ずっと一人でいるというのは、人間社会では無責任な存在なのです。そこの目が昔はとても厳しかった。私が若い頃は、独り者には銀行がお金を貸してくれなかったのです。

家族はいいものだと全面的に肯定するものではありません。面倒なものです。でも、人として生きていくこと自体、面倒くさいものなのです。
それが身に染みてわかるようになってくる。

created by Rinker
¥949 (2025/01/05 12:37:44時点 Amazon調べ-詳細)

-BOOK, LIFE
-,