BOOK LIFE

だから、あなたも生きぬいて 大平光代

※本サイトはPR表記を含みます。

だから、あなたも生きぬいて」読みました。著者の大平さんは、かなり異色な経歴の持ち主です。中学でのいじめを苦に割腹自殺を図り、その後、極道の妻 → 再起を図って弁護士 → 大阪市の副市長
https://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000062445.html を務めた、多くの人がびっくりして二度見するほどの経歴だと思います。

本書を読んでいて、中学で転校するまでは普通に大きなトラブルはなく、何かに悩むこともなく、という感じですが、転校を境に目を向けてられないような酷いいじめを経験されます。

自分の幼少期の時代でも結構不良が流行っているような時代で、上下関係も激しく、根性系暴力がまかり通るような時代だったけれど、大平さんは、さらにもう一世代前なので、さらにそれが残酷というか、なんか想像できましたね。自分も同じ関西出身だし、大平さんが横の道にそれていく過程が「あーなるほど、そういう感じ、パターンね..そういうの想像できるわ..」と、身近に風景や独特な雰囲気が本書を読んでいると思い起こされていきました。

でも、めちゃくちゃ結果論なんですけども、小林正観さんの「淡々と生きる」などの視点だと、やっぱり「その人の使命・運命みたいな役割があるのではないか」と感じます。
(そもそも生まれてくる時に自身が全ての人生の出来事を本当は描いているもの)

転校も自分が覆せるものでもなかった。親にも一番大切な時に限って理解してもらえない。自殺を図っても学校を転校させてもらえない。大平さんにとって「不都合なこと」が重なるように続いていきます。人生ってこういう悪いことが重なることが度々あるかと..

もちろん、一番大切な時に子どもに寄り添うことなく、世間体を気にしてしまったことは親の在り方としてはどうかとは思います。でも、それも抗えない運命だとすれば?

もし、大平さんがとてつもない苦しみを身をもって経験されることで、未来に書き記すことになる本書を通して、たくさんのつらい状況の人を救うきっかけを与えたこと、これからも与えうることは間違いないはず。そうであれば、それはその時はわからないけれども、ちゃんと意味があるものだったし、また、その点をつなげて線にしていったからこそ、今現在の大平さんがあるはずとも思います。

誰人の人生において、究極は悪いことが起きうるはずがないというのは、最近チームメンバーに紹介してもらった、田坂広志さんの「運気を磨く」に詳細に語られているし、全てはどんなにつらいことであっても、ちゃんと意味がある、美しさがあるという真実に気づくことが大切なのだ、と自分も思います。

つらいからこそ、成長できる。その時は見えないけれど、中学生でまだまだ幼いのに、なんでこんなにつらい経験をしないといけないんだろう、と思う反面、だからこそいつまでも心に残り、これからの人生においてこれ以上ない糧であることも間違いはないはずだ、と感じました。

最後のお父さんが光代さんを大平さんに養子をお願いする様子・言葉で号泣しました。(カフェでなんやこいつ?的な空気が..)
読み継がれていくべき一冊だと思います。

だから、あなたも生きぬいて

66: 悪夢

「お母ちゃん、道も歩かれへん。そのうえ学校まで行かへんとなると...お願いやから学校だけは行って。恥ずかしいから」
ご近所では、親切に気遣ってくれる人もいるけど、なかには興味本位におもしろおかしく言う人もいる。母も辛かったと思うが、私は母のその言葉にショックを受けた。

75: 屈辱

なにも精神科が悪いと言っているわけではない。行く必要があるのなら、どうしてはっきり説明してくれないのか。子どもでもきちんと説明してもらえたら、納得して自分から進んで通院もする。それなのに、なんの説明もないまま連れていかれたことで、このとき、母に対し不信感を抱いた。病院ではテストばかりされ、いじめられて苦しかったことは、なんにも聞いてくれなかった。屈辱だった。

99: すれ違い

勝手な思いかもしれないが、私はたった一言でいいから、「おめでとう、頑張れよ」と言ってほしかった。
髪の毛も、これから家に帰って真っ黒に染め直すつもりでいた。しかし、担任の教師に差し出した合格通知書を手に取ってももらえず、どこに合格しようとしまいと知ったことか、という態度をとられたことに対し
<もうどんなに努力してもあかんのか...なにを言うてもあかんのやな...>
と見捨てられた思いがして、なにもかもやる気をなくした。

133: 偶然

「確かに、あんたが道を踏み外したのは、あんただけのせいやなと思う。親も周囲も悪かったやろう。でもな、いつまでも立ち直ろうとしないのは、あんたのせいやで、甘えるな!」
と、他のお客さんが、カップを落としそうになるぐらいの大きな声と迫力で...
落雷にあったように体じゅうに電気が走った。
<やっと、私と真剣に向き合ってくれる人と会えた...>
私はこのとき、生まれて初めて叱られたような気がした。そして、
-- 道を踏み外したのは、あんただけのせいやないと思う --
という言葉が頭の中にこだました。そのとき初めて大平さんの心に気がついた。
<おっちゃんは、本気で心配してくれてるんや...。私を人間としてあつかってくれてるんや...>
うれしくて体が震えた。そして泣き崩れた。

137: 清荒神

<思いどおりにならへんのを、お母ちゃんのせいばかりにしてたなあ。そもそも自殺未遂をしたんかて、自分が弱かったからや。なんぼいじめられても、じっと耐えて頑張る子もおる。将来の目標に向かって頑張る子もおる。道を踏み外したんかてそうや、その道を自分で選んだんやわ。誰のせいでもあらへん。みんな自分が悪いんやわ...>
私は、これまで自分の責任にばかりしていた自分を恥じた。

160: まずは中学英語から

恥ずかしいかな、そのときの私は、司法試験の内容については、なにも知らなかった。ただただ、私は、両親や、大平さん、それに心から応援してくれている人たちに、
「よう頑張ったな。おめでとう」
とほめてもらいたかった。そしてもっともっと認めてもらいたかった。
そのために司法試験に挑戦してみようと思った。

247: 終わりに

今こそ出発点
人生とは毎日が訓練である
わたくし自身の訓練の場である
失敗もできる訓練の場である
生きているを喜ぶ訓練の場である
今この幸せを喜ぶこともなく
いつどこで幸せになれるか
この喜びをもとに全力で進めよう
わたくし自身の将来は
今この瞬間ここにある
今ここで頑張らずにいつ頑張る
京都大仙院 尾関 宗園

250: 終わりに

もし、あなたが今すぐにでも死んでしまいたいと思っていても、絶対に自殺はしないでほしい。死んでも地獄、運よく助かっても立ち直るまでは地獄。あなたの今現在の苦しみや悲しみは永遠のものではなく、いつかきっと解決する。どうか前向きに生きていってほしい。

もし、あなたが今すぐにでも道を踏み外してしまいそうなら、思いとどまってほしい。家庭や学校や世間に対する怒りや不満を、道を踏み外すことで解消しようとしても。それは全部自分に跳ね返ってくる。自分がしたことの何倍にもなって。どうか周りの人の言うことを素直に聞いて、自分の人生も他人の人生も大切にしてほしい。

もし、あなたがもう道を踏み外してしまっているというなら、今からでも遅くはない。もう一度人生をやり直してほしい。この先も、いくたの苦難があるかもしれないが、あなたはそれに耐えられるだけの力を備えているはず。あなたはこれまで随分と辛い目にあってきたのだから。
一つ一つの困難を乗り越えて、そしてその手に幸せをつかんでほしい。

 

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