BOOK LIFE

発酵道 寺田啓佐

※本サイトはPR表記を含みます。

発酵道」読みました。

著者の寺田啓佐さんが自身の大病を患ってから健康になるまでの道のり、そして、寺田本家の経営難を乗り越えるまでのストーリーがあり、「お酒の本当の価値を人びとに届けるためにはどうすればよいか?」という試行錯誤を繰り返しながら、健康や人の生き方について、さまざまな気づきを記された本でした。

私利私欲に生きることは、いつしか人生そのものが「腐敗」したものに進むということ、また、人のために生きることの姿勢「自然に楽しく、自分らしく」は、たとえるなら微生物と同じように自分の環境と共に「共生」していくことで、人生が「発酵」した充実ある幸せな人生を歩むことができるということです。共感できることが多く、とても勉強になりました。

本書を読んでいて、ふと思ったのが、WEBエンジニアという職は、人のコードをレビューするという「コードレビュー」の文化があり、本来の姿は「ミスを最小化し、各個人の能力を高め合う」(発酵)というものですが、ひとたびチームの協調がうまくいかなければ「悪い点を指摘され、自分が貶められた」という気分になってしまう(腐敗な)側面もある、と思います。

チームがうまくいくプロジェクトをこなしてくために必要なことは、メンバー同士の尊重(リスペクト)、謙虚な心や、小さなことに日々感謝ができる人間性も必要なってくると思います。悪い意味でのオレオレマンがいることで、チームが腐敗の方向へ向かうことも、この「発酵道」には通ずるものがあるなあ、と思ったりしました。(まあ、他の世界でも共通だと思うけど)

最後の章にあたり、「言葉」の重要性にも触れられており、悪い言葉は、即腐敗への道、そして、良い言葉は発酵への道への分かれ道。なので、言葉は慎重に選びながら、あらためて日常を過ごしていかないと、とあらたに気持ちが引き締まる思いでした。

育児がうまくいかなかったり、無邪気な子どものイタズラに悪戦苦闘な日々が続くと、ため息や、腐敗に向かう言葉を発したくなりがちになります(寝てないと特にね、、正直なところ)
が、子どもたちに救われているのも事実。「ありがとう」とか「大好き」という言葉は日々伝えているし、常に良い言葉のみで子どもたちと一緒に日々過ごしていけるよう心掛けていきます。

いろいろな方向に話が飛びましたが、「発酵道」面白いです。おすすめ。

2: 微生物から生き方を学ぶ

発酵醸造という微生物の世界。その世界は、互いに支え合って生きる、相互扶助の力が大きく作用している。微生物の世界は、「愛と調和」で成り立っていた。それを見て、「人間も微生物のように、発酵しながら生きれば、争わなくても生かされる」ことを確信した。

52: 発酵か腐敗かの選択

腸内環境というのは、ほどよく発酵菌優勢というのがいいのだそうだ。発酵菌によってもたらされる「腸内発酵」が、便秘を解消し、大腸ガンをも予防してくれる。そういう状態を持続できれば、免疫力は高まり健康になっていくのだ。
逆に腐敗菌が優勢になれば、「腸内腐敗」がもたらされ、便秘や下痢が起こりやすくなって、発ガン物質も現れてくる。あげくは体全体の免疫力が下がり、不健康への道をまっしぐらとなるのだ。

53: 発酵か腐敗かの選択

自分のもの、自分のお金、自分の会社、自分の成功・・「自分の、自分の」という我意識は、腐敗をまねいてしまう。発酵している意識というのは、本来の自分、本当の自分の意識をいうのだろう。一人一人の心の奥にある、純粋な意識のことを。
「自分の利益や欲を捨てたときに、人間は救われる」
これはかつて父に言われた言葉だ。自己中心的な姿勢を改めたとき、発酵という救われる道ができるということだったのかもしれない。

55: 発酵か腐敗かの選択

何より、腐敗は病気や失敗、苦悩、災いの源であるとわかってきた。不幸といわれるあらゆることの元をたどっていくと、必ずそこには腐敗がある。発酵していれば、そこには平安がある。幸せがある。発酵こそが、進むべき道なのだと思えてきた。
そして、発酵を選ぶか腐敗を選ぶか?人間だけは自由意思でそれを選択できる。

60: あなたのお酒はお役に立ちますか

「中心が何であるか、どこにあるか。これをはっきりつかむことが、人類生存の尊い唯一の道である」
「例えば綱渡りの曲芸師は、中心を外せば転げ落ちる。中心をとるコツは、いつもまわりを見ながらバランスをとっていくことだから、足元を見つめていたのではバランスをくずしていく。だから自分のことばかり考えるな。自分の都合は捨てろ。相手の喜ぶことを、まわりが喜ぶことを第一に考えなさい」

99: 微生物の働きは「エサ」と「棲み家」で決まる

実をいうと、発酵のための環境を整えるのには、もっと大きな影響を及ぼすものがある。それは人間の「言葉」や「意識」である。本当のところ、私はこれがいちばん大事だと思っている。不思議なことだが、プラスの言葉を使ったりプラスの意識をもつのと、マイナスの言葉を使ったり、マイナスの意識をもつのでは、場という環境はいかようにでも変わっていく。
プラスの言葉や意識とは、「うれしい」であったり、「楽しい」であったり、「ありがとう」であったりする。反対にマイナスの言葉や意識とは、「この野郎」であったり、「バカ野郎」であったり、「どうせ自分なんか」というものである。

107: 日本の伝統食と「菌食」のすすめ

動物性タンパク質は、腸の中の微生物のバランスを崩してしまうとんでもないやつだった。つまり発酵菌が優勢で、腐敗菌とバランスをとっている健康的な状態を、腐敗菌優勢の状態にしてしまうのだ。
この状態は、発ガン性物質の発生や免疫力の低下につながる。

110: 競争をしない儲けない商売に

「五人娘」は、宣伝もせず、営業すらまったくしないで売っていた。
利潤だけを追求してきた今までの販売姿勢を捨てた私は、競争をしないこと、商売を大きくしないこと、儲けないことを念頭に、ただ売ってほしいという人たちに酒を届けることに徹していた。

115: 微生物たちは「自分好き」

こうやって微生物の世界をのぞいているうちに、生命のおもむくまま、自分にとって最も快いことを選択していくことが、自分は自分を生かす最良の生き方なのではと思うようになってきた。
そんな法則が、実際にあるかもしれないと思えてならないのだ。ならば、酒蔵の微生物が自分に楽しんでいるように、人間も生きていけばいいのではないか。

135: 人の下に自分を置く祈り

(石川)洋さんは、自分で自分を叱る言葉「自戒」として、次のような言葉を伝えている。
「つらいことが多いのは感謝をしらないからだ
苦しいことが多いのは自分に甘えがあるからだ
心配することが多いのは今をけんめいに生きていないからだ
行きづまりが多いのは自分が裸になれないからだ」
そして、「感謝にまさる能力なし」という言葉を私に教えてくれた。
当たり前のことを、どう感謝につなげていくか。いいことも悪いことも、何があっても感謝につなげていくという生き方があるのだということを。

142: 持てるものはすべて吐き出す酒屋になる

「持つ・つかむ・取る・放さない」によって、災いや苦悩、病気が引き起こされるのだ。一方、「与える・放す・つかまない・吐き出す」は、幸せにつながっていく。もっている知恵、力、お金、親切、思いやりといったものを、からっぽになるまで出し切れば、必要なものはひとりでに入ってくる。それが自然の循環というもので、それが宇宙の法則なのだと思う。

162: 微生物から、私たちが学ぶ「快法則」

楽しくないのに無理をして、必死になってがんばって、それで死んでしまったら元も子もないじゃないか。「がんばる」という言葉は、「我を張る」という言葉にもつながるのだ。「ワレが、ワレが」で、いろいろなものを見失いながら、楽しくもないことをやり続ける人生で、本当にいいのだろうか。気持ちひとつで、微生物のように「快」に向かって楽しく進む人生に切り替えることができるのに。

166: 生命におもむく方向に、自然に、素直に

不自然なことをしないで自然にまかせておけば、ひとりでに発酵して酒ができていくように、人間だって自然に沿ったら、おのずといろいろなことがうまくいくのだと思う。そうなれば、人間も発酵していくのだ。

220: 幸福の秘訣は発酵にあり

特にはっきりと結果が出てくるのは、私たちが発する「言葉」ではないだろうか。いい言葉が発せられれば、そこは発酵場になる。この感覚は、だれにでもわかるのではなかろうか。いやな言葉を聞いて、気持ちがよくなる人はいないであろうから。

222: 発酵場の選択こそ宇宙の繁栄道

共生とは、競争しない、争わない、仲よしの世界のことだ。「負けちゃう、損しちゃう、謝っちゃう」、むしろ積極的にこういう姿勢にしていく。肩の力をフッと抜き、がんばるのをやめてみたとき、みんなとつながれることに気づくはずだ。

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