「富の方程式」読みました。著者のスコットギャロウェイ自身のキャリア・経験をとおして、富への道、どうすればお金に捕らわれず、人生を自由に生きていけるかを現実的な視点を軸に述べられた一冊だと思います。
本の序章から、中盤にかけては「どのようにキャリアを組み立てていくか」という観点の話が深堀りされていて、自身のキャリアでお金を稼ぐことができた上で、お金とどのように向き合っていくか、また増やしていくのかということが後半に向けて述べられています。
特に、前半はこれから社会にでようとしている若い人が特に得るものが多いだろうし、後半については、どのようにお金と向き合っていくかを確立できていないと思う人は読んで損はない内容だと思います。
いかんせん、結構本が分厚いので全てを読破するのは途中で挫折する人も多いと思いますが、それでも一読する価値はあるかな、と個人的には思っています。
著者の主張としては、とにもかくにも、現実的で、「夢を追いかけるよりも、よっぽどコツコツと働きつつ、キャリアを磨くことの方が富を得やすい」ということを強く主張しています。
まあ、夢は現実と切り分けて考えるべき、というのは自分の人生を振り返ってみても腑に落ちますね。若いときは夢見がちで、自分も全くもって「夢追い人」でしたらから(ガチフリーターで全くもってその日ぐらし万歳状態。汗)
本書は結構、休日返上で働くことを推奨している節もあるので、今の若者には刺さらないかもしれませんが、それが必要な時期もあるのかな、と個人的には思います。(若いときに無理しとけ的な。それがビジネスにつながるなら尚よしですね。)
自身のキャリアから見直したいと考えている人には特におすすめな一冊です。
7: プロローグ
富 = フォーカス + (ストイシズム×時間×分散投資)
・フォーカス → 仕事に集中して収入を高める
・ストイシズム → 無駄遣いしない節度ある生活
・時間 → 福利の力を活かした長期的な投資
・分散投資 → 分散投資でリスクを減らす
11: プロローグ
私たちが住むグローバルな競争市場は、絶えず「もっと大きくて、もっと良いモノ」にお金を使わせようとしてくる。「それらを手に入れなければ、良い生活ができない」と思わせる状況を巧みにつくり出すのだ。そんな中で、資産を増やしていくのは容易なことではない。
「経済的自立は、どれくらい多く稼ぐかではなく、どれくらいの資産を保有し、自分は何があれば満足した人生を送れるか。を知ることによってもたらされる」
11: プロローグ
シェリル・クロウ 名曲「Sock Up The Sun」には、「幸せは、ほしいものを手に入れることではなく、すでに持っているもののありがたみを知ることで得られる」という歌詞がある。
11: プロローグ
私たちは絶えず、自分が手に入れたものではなく、まだ手に入れていないものばかりを見るように仕向けられる。これは、まさに「富のポルノ」と呼ぶべきものだ。略
社会が変わるのを待つのではなく、現状のシステムの中でうまくやっていくためのスキルと戦略を身につけるほうが、はるかに賢明だ。
26: 経済的なストレスが経済的な不安に変わる瞬間
経済的な不安は高血圧のようなものだ。常にそこにいて、些細な病気が命を脅かす病気になるのを待っている。これは比喩ではない。
低所得世帯で育った子どもは、裕福な世帯で育った子どもより、血圧が高いことがわかっている。
60: 凡人でも少しずつ人格を高める方法
心理学者のヴィクトールフランクルは、「刺激と反応の間には空間がある。私たちはその空間の中で、その刺激に対してどんな反応をするかを選択できる。この反応の中に私たちの成長と自由がある」と述べている。
私たちは環境をコントロールできない。
だが、それにどう反応するかはコントロールできるのだ。
大切なのは、自分の怒りや恐れ、欲に目を向け、それらに振り回されないようにすること。
80: 運と味方につけられる人、つけられない人
大きな成功を収めるほど、大きな失敗をしやすくなる。成功はすべて自分のおかげというウソを信じるからだ。
たしかに優秀で勤勉かもしれないが、自分一人で大きな成功は成し遂げられないし、タイミング(や他の運の要素)に大きく左右されていることを忘れてはならない。
82: チャーチルが語った「成功」の法則
「人生では嬉しいことも辛いこともすぎ去っていく」という永遠の真実を表すユダヤの経典の名言「これもまたすぎ去る」を心に刻もう。
108: 第1章まとめ
・思考と行動を一致させる
・時間をかけて人格を磨く
・衝動的に行動をしない
・感情的に反応していることを認める
・習慣を培う
・とにかくやってみる
・金銭的な豊かさにはきりがないことをわきまえておく
・運の役割を知る
・運動する
・良い意思決定をする
・愚かなことをしない
・何でも相談できる人を身近に置く
・サービスしてくれた人に親切にする
・お金持ちの友人をつくる
・お金の話をする
・配偶者やパートナーとの関係を大切にする
122: なぜ、夢を追いかけてはいけないのか?
若い人たちに向かって「夢を追い求めろ」と言う人は、決まってすでに金持ちだ。
しかし、あなたがすべきことは、夢を追いかけることではなく、自分が能力を発揮できる仕事を見つけ、忍耐強く数千時間を費やして技能を磨き、道を究めることだ。そうすると、自分が成長している感覚や、技能が向上している感覚が得られ、十分な収入がもらえ、まわりから認められ、業界の仲間も増える。
その結果、その仕事が何であれ、情熱を傾けられるようになる。
132: 「才能」とは何か
才能とは、他人にはできない(またはしようとしない)が、あなたにはできる何かのことだ。
134: 「才能」とは何か
重要なのは、他人にはできない(やりたがらない)が自分にはできる何かを見つけること。
視野を広げ、スキルだけでなく、自分の長所や他人との相違点、許容できること、個性とは何かを考えよう。時間をかけ、頭をやわらかくして、自分と対話しよう。
136: 自分の才能の見つけ方
一般的には、20代は自分に合った仕事探しの時期、30代は自分の選んだ分野で能力を磨く時期、40代から50代は収穫の時期と位置づけよう。
142: 夢を追い求めないほうが何千倍もいいくらしができる
夢を追い求めないほうが、夢を追い求めるより何千倍もラクでいいくらしができる。そのほうが、経済的自立を目指すのもはるかに簡単だ。やりたいことは週末に楽しめばいい。
211: 第2章まとめ
・注意、時間、エネルギーを意識的に使う
・ハードワークの必要性を認める
・情熱を追い求めてはいけない
・時間をかけて自分の才能を見極める
・熟達にフォーカスする―情熱は後からついてくる
・努力を継続する
・一番高い波がくるビーチを探す
・コミュニケーション力を磨く
・スキルだけでなく業界や企業のカルチャーに基づいてキャリアを選択する
・一般的なキャリア以外にも目を向ける
・都市に出て、オフィスで働こう
・やめどきを知る
・会社ではなく人に忠誠心を持つ
・趣味に優先順位をつける
216: 時間は長期的には「味方」になり、短期的には「敵」となる
あなたがコントロールできるもの、そして存在できる場所は、今この時しかない。過去のことをくよくよ悩んだり、何も行動を起こさなくてもバラ色の未来がやってくると思っていたりすると、過去は変えられないのに、できなかったこと、直せなかったことを悔やみながら生き続けることになる。
235: 人類史上最大の「富の破壊者」とは?
SNSは、おそらく人類史上最大の「富の破壊者」だ。
人生の大切な時期にいる若い人たちから、仕事や(現実の)人間関係に費やすべき貴重な時間を何年分も奪っている。
286: 第3章まとめ
・どんな資産よりも、自分の時間を大切にする
・福利の力を理解する
・インフレの力に注意する
・「合理的」にお金に執着する
・実際に支出を記録する
・毎月、わずかでもいいので貯金しよう
・金銭的なコミットメントを避ける
・支出を安定させよう
・月の予算を決める
・未来の自分に選択肢を与える
・達成可能な短期の貯金目標を設定する
・よく考えてお金を使う
・支出を3つのバケツに分ける
- 消費(短期)衣食住、交通費、ローンの支払い、他の日常的な支出
- 予備費(中期)不定期の支出「生活防衛資金」
- 投資(長期) - 将来の消費を賄うための投資資金。このバケツは将来の経済的自立につながる。
307: 分散投資とは何か
分散投資とは、リスクプロファイルを拡大することで、1つの失敗や世界的変化で致命的なダメージを被らないようにするための「技術」であり「科学」である。
313: バフェットに反旗を翻した投資会社のその後
一貫して市場に勝ち続けられるファンドはほとんどいない(仮にいたとしても)ことを一般の投資家に気づかれたら、株式ブローカーやヘッジファンド・マネジャー、投資アドバイザーが大量に失業することになるからだ。これは金融市場における公然の秘密だ。どれだけ金融の知識があり、資本やスタッフが充実していても、長期的には誰も市場平均には勝てない。
314: 「ランダムウォーの理論」への2つの疑問
マルキールは、資産価格(特に株価)は「ランダムウォーク理論」に従うと述べている。つまり、長期的には株価の値動きを予測できないというのだ。彼は、個別株投資は「ランダムウォーク(無作為)」な行為であり、時間をかける価値はないと主張した。
317: バークシャー・ハサウェイは保険会社である
リスクとリターン、分散投資「市場を打ち負かそう」とするのは(ほとんどの場合)無駄な試みであること - これらは、投資の基本原則である。
320: お金とは時間を交換するための手段
お金とは私たちが時間と交換する方法であり、お金に価値を与えるものは、人が自分の時間(その時間を使って生産した商品)を、他人のお金と交換できることだと覚えておけばいい。
327: 投資とは?
「投資」とは、お金の出した側(投資家)に利益を「返す」というお金の移動である。
取引の相手側は、喜んでその利益を支払う。そのお金を資本として活用することで、投資家に支払うべきリターンよりさらに多くの利益を得られると信じているからだ。
こうした取引がうまくいけば、(実際、健全な経済ではほとんどの場合、うまくいく)、双方に価値が生み出され、経済は成長する。
これは重要なポイントだ。投資はゼロサムゲームではなく、パイを大きくするのである。
346: 株式市場はリードにつながれた「犬」。経済はリードを持っている「飼い主」
株式市場はリードにつながれた「犬」で、経済はリードを持っている「飼い主」のようなものだ。
注意すべきは、長期的には、株式指数は「平均的な」個々の企業よりもかなり優れたパフォーマンスを示すということだ。これは、生存バイアスのためである。
つまり株価指数では、業績が低迷している企業の銘柄は、業績が好調な企業の銘柄と入れ替えられるからだ。長期的に見れば市場に勝てる企業はほとんどないのである。
352: お金の時間的価値(割引率)を加えた方程式
資産価値評価では他にも重要な点がある。
「明日のお金は今日のお金より価値が低い」ということだ。
福利の力のために、現在のお金の価値は数年後にはかなり下がる。これは「お金(貨幣)の時間的価値」として知られる、投資の基本原則だ。
385: 株の売買でやってはいけないこと
私が強く反対するのは、短期間での頻繁な株の売買だ。
データもそれがうまくいかないことを裏づけている。
株は、取引をすればするほど損をする。頭も疲れるし、神経もすり減る。何よりうまくいかない。税金面でも効率的ではない。
デイトレードはすべきではない。
429: エピローグ、人生で一番大切なもの
まずは人がお金を払ってくれるような得意な仕事を見つけ、一生懸命、本当に一生懸命にそれに打ち込もう。
家計の支出を黒字にし、残ったお金で投資し、資本の小隊をつくろう。やがてそれは師団となり、あなたが寝ている間に、あなたとあなたの愛する人たちのために戦ってくれる軍隊になる。
予期せぬ出来事が起きても乗り切っていけるよう、分散投資すること。そして、長期的な視点を持つこと「時間は自分が思っているよりも速く進む」ことを認識できる知恵を持とう。