BOOK LIFE

お金以前: 土屋剛俊

※本サイトはPR表記を含みます。

お金以前」読みました。著者の土屋さんは、長年金融のキャリアを積み上げられている方で、広く一般的にお金に対するリテラシーの底上げを図る目的のために本書を出版されました。

本書はまず、「資本主義とは何か?」というところから始まり、そして、最後には金融に関する歴史から学ぶことで、お金との向き合い方を教えてくれます。

実は資本主義の発端はユダヤ人が長年迫害されてきたところから始まるという所も、目からウロコでした。

その昔は「お金で何でも買える」という世界ではなかったようで、基本的にお金の貸付などの仕事は「卑しい」とされていたようです。そこで、お金を儲けることに関して寛容だった「ユダヤ教」が、長年迫害を受けてきたユダヤ人が、自らを守る、唯一信頼できるものは「お金しかなかった」というのも深く考えさせられます。

何せ、お金がなければ当時は(資本主義社会になってからは現在も同じですが)死活問題なのですから、当然であるとも言えると思います。

本書は、もちろん現代のお金に対する向き合い方も、色々な方面から述べられていて、人生において直面する現実的な問題、たとえば、住宅ローン、株、不動産、保険など、不可欠な知識を学ぶことができます。

株に関しても、長年の金融キャリアを経験されてきたからこそ、説得力のある話で、「なぜ、個別銘柄より、インデックスが大体において良いとされるのか?」ということにも根拠をもって言及されている所は納得です。

個人的に、何度も読み返したいと感じるところは「歴史から学ぶ」の章です。歴史を振り返ると人間は同じような過ちを繰り返す生き物ではありますが、それは金融に関しても同じ。

本書では以下、3つの出来事の要所を、簡潔に「なぜ、そのような金融危機に陥ったのか?」ということを学べます。

  • 世界恐慌
  • 日本バブル崩壊
  • リーマン・ショック

世界恐慌」って文字列だけ見ても、何かヤバさが伝わってきますが、4人に1人が失業するってエグすぎ。富豪とされている人々も財産が無になる人が多くいたようです。(ナポレオン・ヒルもその一人)それも実は1930年頃の出来事なので、歴史からすると「ついさっき」なんですよね。

やっぱり、この辺は深堀りして、学ぶべき事柄なのだろうと自分は考えています。リーマン・ショック時のFRBの「バーナンキは正しかったか?」という本もずっと気になっていて(ちょっと希少性がでているので手に入らない)、難しいかもだけど読んでみたい。

とかく、本書だけでも、お金のリテラシーの底上げができると断言できますが、金融に関する教養の次のステップを後押ししてくれるような、そんな本でした。良書です。

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以下ハイライトです。

はじめに

私は、「お金を増やす」ことでいちばん大切なのは「一般常識を増やす」ことだと思っています。「これって絶対変だな」と気づけるようになるのがいちばんです。

「巨大な搾取システム」である資本主義をまず理解する

実は主本主義とは「格差をベースとした巨大な搾取システム」でもあります。

プロですらなかなか勝てない投資の世界

S&P500指数という、アメリカの平均株価に投資するというインデックスがあります。ところが10年の運用で、このS&P500の指数に勝ったアメリカのアクティブ投資家は、3割くらいしかいません。

何も考えずにインデックスに連動する商品を買って10年持っていれば、ほとんど(というと言い過ぎかもしれませんが)のプロの運用者に勝てるということです。

投資の基本は「短期の上げ下げは気にしない」ことと、世の中の動きを見ること

個別銘柄の鍵には投資しないこと。そして、長期投資し、短期で売買しないことです。とにかく「短期の上げ下げは気にしない」ようにしましょう。

「長い目で世の中の動きを見極める」とはどういうことでしょうか。
それは、人口動態と、その国の金融システムが健全なのか危ないのかを見ておくことです。

正しい投資は実はシンプル

株について守るべきことは、基本シンプルです。
・運用する期間が長いほどいい
・株の投資は、すぐには使わないお金、かつ値下がりしても生活に困らない範囲にとどめておく
・個別株には投資しない
・一度投資したら10年くらいは売らない、値上がりしても値下がりしても売らない。いちいち値段のチェックはしない

NISA, iDeCoについて

なぜ、投資家にメリットがあるようなことをするのでしょうか?
それは、NISAやiDeCoは、国民に投資を推進させるべく政府が国民に小遣いをあげるために行っているからです。

投資したい国の人口構成をまず見る

まっさきに覚えておくべきなのは「人口」を考えることです。「国単位の経済現象はほとんどの場合、人口で説明できる」と思っています。

このままだと破綻すると言われている「日本経済」は現在どんな状況か

可能性がいちばん高いのは政府が借金をしすぎて、破綻してしまう場合です。

では国が破綻するとはどういうことか

第二次世界大戦の戦費が膨大で、借金が多かった日本は、禁じ手を使い、日銀に国債の引受けをさせました。自由にお金を刷ったわけです。そして、お札が急増したこともあってとてつもないインフレになりました。
このインフレは、月に100%上昇するという驚異的なレベルでした。1カ月で持っている現金資産の価値が半分になったのです。この事態をなんとかしようとして、政府は「今持っているお金は使えないことにします。新しいお金に換えないと紙くずになります。交換して欲しければまず、持っているお金を全部銀行に持ってきてください」としました。

経常収支を見れば、国全体の様子がわかる

お金は信用という得たいのしれない、概念みたいなものなので、壊れるときは一気に壊れてしまいます。
ですので、これからの日本の動向については十分に注意して見ていかなければなりませんし、少なくとも保険をかける意味での資産の相当量を外貨に替えておくのがいいのではないかと私は考えています。

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