「起業家という冒険」読みました。著者は成田修造さん、知名度の高い成田悠輔さんの弟ということです。
まず、本書を手に取ってみようと思ったきっかけは、「家庭環境があまりよくないように感じたから」です。
父親が「浮気、酒、たばこ、ギャンブル」+ 仕事が続かず、いわいる社会不適合者だった模様で、成田さんが中学の時に離婚、そこから母親がうつ状態になり、くも膜下出血で販推不随に。なんとも壮絶です汗。
そこから兄弟二人がどのようにして、這い上がっていったのか。非常に気になったので本書を手に取りました。
以下、目次です。
結論:「起業家という冒険」は特に学生におすすめしたい本
結論からいうと、「起業家という冒険」は大学生などの学生におすすめできる本だなと思いました。
大学は学ぶ過程の最終章ですし、社会に出る一歩手前。そこで本書を読むことで、起業の楽しさ、辛さ、著者の経験した失敗談を読むことで一つの知見を得ることができると思います。
本書の第二章は「スタートアップは日本に残された唯一の希望」とありますが、大企業へ就職して安泰を目指すのは、もう今後の日本では通用しないことを強く訴えられています。
日本経済の「失われた30年」のデータを基に1989年の世界の時価総額ランキングで上位を占めていた日本ですが、現在は米国にランキングを奪われており、実質賃金についても、先進諸国はインフレに比例して賃金が上がっていますが、日本は上がるどころか、下がっている現状グラフは、考えさせられるものがあります。
著者は、日本経済の低迷を打破するために今後「スタートアップ企業」が日本を成長に導くと述べられています。
また、著者も長年「クラウドワークス」の役員を卒業し、新たなスタートアップに挑戦し、日本に貢献したいと述べられていました。
著者をロードモデルとするのは人による
ただ、本書で気になる箇所としては、著者をロールモデルとするのは少し危険だなと感じました。
それは再現性の低さからそう述べています。それが以下の点です。
- 実は父親は知的で優秀だった(家に数千冊の本があった / 遺伝子的にも優秀である)
- 家庭環境が劣悪だったからこそ、十代から自立する覚悟を持てた側面が大きい。
- 兄(成田悠輔)の存在がでかい → どんな本を読めばいいのかの指南を得ることができている。また「起業家精神」の大事なキーワードを弟に伝える役目を果たしている。
- 学生時代にすでに起業家を目指す人の環境を掴みとっていた。そこから有名な起業家の人との接点を作ることができた。
- 学生起業をし、早い内に失敗を経験することで、次の大きなステップ、また新たなつながりができていく。
成田悠輔さんの生い立ちについては、何も述べられていないので、ただの憶測ではありますが、父親の知的で優秀である側面は、遺伝子として兄弟引き継いでいるのは間違いないでしょう。また家庭に「数千冊の本」があるというのも大きいと思います。
誰しもが起業家として生きて、お金や時間に縛られることなく自由に人生を謳歌していきたいと願うものだと思いますが、それらを手にするには、相応の運と縁、環境、それに加えて自覚、努力と挑戦の継続が現実的に必要です。たとえば、運だけだと一時の成功は可能かもですが、持続することは不可能だと思います。
本によって感化されやすい人ほど、本書で勇気をもらって何かに挑戦することは良いことである反面、根拠なく、走りすぎると痛い目に合うと個人的には思います。※無知ゆえに行動できるということは良いけども...
あと、強く思うのは起業家の周りには起業家がいるということ。
文章を書いていて、ふと頭に浮かんだのは、本田圭佑さんも近畿大学の講演です。
「成功するためには、徹底的に環境にこだわれ」ということです。
優秀な人の周りに自分を投じることで、適応能力が働き、だんだんとその環境にいることが普通になる。また、成功をしている人の中にいる環境だからこそ、理想の成長ができ、自分も成功できると。全くその通りだなと個人的に思います。
つながりがない人、そのような環境を作ることができていない人が単に本書を読んだだけで成功するはずがなく、キチンと客観的に自分の周りを見て、独立して起業家の人とのつながりがあるのか、一定の成功を収めている人がいるのか、自分のバックボーンや、今後の明確の目標に向かって着実に歩めているのか、などといった考慮が必要になるんじゃないかと思いました。
その上で起業家として挑戦することはとても大切だと思います。それが、「とるべきリスクをとる」ということだと思います。
そのあたり(下界に降りてきてもらって)論じてほしかった。あくまで「自身の経験からの視点」でしか述べられていない部分が多いので注意が必要です。
成功できる人はきちんととるべきリスクをとって、成功していると思います。それでも挑戦はコンフォートゾーンから出るわけですから、怖いのが普通。
「行動・行動」って本から言われるだけで、リスクをとることは、真夜中にやぶからぼうに海に飛び込んで島に泳ぎ着くぐらい難しいと思います。
本書のキーワードは「起業家精神」
「起業家精神」の定義として、著者は「何かに依存せず自立して、社会や人のために目標を立て、リスクをとって行動する姿勢」と説きます。
自分も「会社員×副業」が一番大多数な人におすすめでき、堅実に起業家として歩み始める一歩だと考えています。
一番よくないのは、「安泰・安定姿勢」という所でしょうか。今後の時代は何も挑戦しないことが自体がリスクであり、AIにとって代わられる時代となることで最悪のケースではメシが食えなくなります。
AIは使いこなすものです。とかく、ただ漠然と働くのではなく、自分の価値を高めるように毎日を大切に生きていきたいものです。
まとめ
「起業家という冒険」は一つの読み物としてはとても楽しめますし、また、「起業家精神」をもって社会を歩んでいく大切さを述べられています。
しかし、成田兄弟は優秀だと思うと同時に、本に持つ圧倒的なパワーに驚愕する一冊です。成田兄がおすすめする36冊、自分は今時点からでも読破していきたいなと思います。
本の広がりを見つける一冊としてもおすすめです。